移動の不便を解消し、街の可能性を無限にする。
エレベータで自在に移動
人が乗るカゴをワイヤでつるさず、磁力を使うリニアモータで動かす次世代エレベータの開発を進めている。上下だけでなく、横やカーブなど、自在な移動が可能になり、ワイヤがない分一つの昇降路で複数のカゴを同時に運転することもでき、ビル空間の効率的な利用につながる。
駅と、隣接するビルや病院などをつなぐ新たなモビリティー(移動手段)としての活用も見込める。創業者の一人で、エレベータ大手フジテック出身のマルコン シャンドル社長は「設計には無限の可能性が生まれ、街のデザインが変わる」と話す。
京都大の宇治キャンパス(京都府宇治市)に試験用タワーを設置して検証を進め、2026年度の商品化を目指している。生産を担う予定のトルコの電子部品メーカーは工場の建設も始めた。
課題となる安全性については「従来のブレーキに加え、電気がなくてもカゴがゆっくり下降する技術も取り入れるなどしている」という。
導入コストをどう抑えるかや、量産に向けた資金の調達も重要になる。